精神病院の長期入院は幸せか不幸か?~日本の精神科医療の現状や、当事者の声を踏まえて~

  • 精神科医療の現状
  • 日本の精神医療の課題「身体拘束」について
  • 国連障害者権利委員会から日本への勧告を受けて
  • 当事者の声
  • 退院後の住まい・生活問題
  • 実際に障害者GHを運営する会社【アニスピホールディングス】

今、精神科病院の界隈で、精神病院の長期入院は幸せか不幸か?で論争が起きています。日本の精神科医療の現状を見た上で、実際に精神科医として働かれている方や、精神科病院に入院経験のある利用者の話を聞き、退院後の住まいや生活に関する課題を提案します。

精神科医療の現状

まずは日本の精神科医療の現状を患者数、病床数の推移などからみていきましょう。

患者数

精神疾患を有する総患者数は約392.4万人です。入院患者数は約31.3万人(※)、外来患者数は約361.1万人となっております。
※うち精神病床における入院患者数は約28.9万人

入院患者数

精神病床の入院患者数は過去15年間で減少傾向にあり、約32.9万人であった患者数が28.9万人まで減り、約4万人の減少となっています。一方で、外来患者数は2倍以上に増加。認知症や気分障害(うつ病など)が特に増加しています。

入院患者数

入院形態別の在院患者数の推移では、任意入院・措置入院は減少する一方、医療保護入院は増加しています。ただし、医療保護入院についてもH26年度は前年度比4,756人減少しています。

入院の種類

精神病床の推移

精神病床数は過去15年間で約35.8万床→33.8万床(△約2万床)に減少していることがわかります(全病床数(約168万床)の約2割)。他方で、国際的には日本の病床数は非常に多く、更に病床を減らしていくことが課題といえます。

平均在院日数の推移

精神病床の平均在院日数は274.7日(全病床:平均在院日数29.1日)で、過去10年間で精神病床の平均在院日数は、52.5日短縮されています。しかし、病床数の推移と同じく他方で国際的には日本の平均在院日数は非常に長く、さらなる短縮が求められています。

精神病床数と平均在院日数の諸外国との比較

退院数

近年の新規入院患者の入院期間は短縮傾向にあり、約9割が約1年以内に退院していることが伺えます。

再入院率の割合

厚生労働省のまとめた再入院率のグラフをみてみると、精神病床からの退院患者の再入院率は、退院後6ヶ月時点が約30%、1年時点が約37%であることがわかります。

再入院率のグラフ

※参照:最近の精神保健医療福祉施策の動向について|厚生労働省

日本の精神医療の課題「身体拘束」について

日本の精神科医療の現状を見るに、平均病床数や平均在院日数は減少傾向にあるものの、世界的に比較すると日本は圧倒的に病床数や在院日数が多いままだということが伺えます。

中でも、医療保護入院と措置入院という強制入院の多さが問題となっているのです。

身体拘束の基準

身体拘束とは、「保護」の名のもとに「人間」を拘束することを指します。様々なことが「これは保護のため」と言うこともできてしまいます。

精神保健福祉法第37条1項が規定する基準では、身体拘束は基本的にはしないでください、できるだけ代替方法を探してください、どうしても代替方法がない場合にのみ許されるという規定になっています。

つまり、精神保健福祉法では身体拘束に関する基準は「やらないでください」「気をつけてください」という解釈をするべきですが、この基準は変わらないのにも関わらず、身体拘束はここ10年で約2倍になっています。

精神保健福祉法によると身体拘束の対象となるのは、

ア)自殺企図または自傷行為が著しく切迫している場合
イ)多動または不穏が顕著である場合
ウ)ア)またはイ)のほか精神障害のために、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合

となっています。

この基準では「対象となる患者」としていますが、これに当てはまれば身体拘束をしてもいいというわけではなく、他に代替方法がないことや、一時的であることが必要です。

厚生労働省は、隔離や身体拘束を下記のように規定していますが、隔離には書いてあり、身体拘束には書いていないこともあります。そうすると、隔離の要件の方が広いことがわかります。

隔離と身体拘束の違い

身体拘束増加の背景

身体拘束数について最初に国会で取り上げられたのは、2015年5月に参議院厚生労働委員会で、川田龍平さんが10年前の1.89倍になったことを指摘しました。厚生労働大臣は「急性期の入院者が増えていることなどが関係しているのではないか」と答弁しました。急性期の精神疾患の入院者が急に増えるということは考えにくいです。

その後、共同通信等も取材をして記事が出ました。その時に日本精神科病院協会の一部の方が、精神科救急体制が整備されてきたことが要因ではないかと発言しました。精神科救急体制が整備されると、身体拘束が2倍になる、制度ができるとそういう人が増えるということは、とても恐ろしいことです。

病院の看護師の方に対し、身体拘束の意義やメリットや不利益をどう認識しているのかをアンケート調査すると「隔離・身体拘束不実施不安度」が相関していました。つまり、隔離・身体拘束をしないと看護師が不安になってしまう、だから拘束をしているということです。身体拘束をされる方の理由ではなく、身体拘束をする側の理由で身体拘束が行われているということです。

全国の11病院に身体拘束と隔離の現状の調査をしたところ、隔離の平均日数が46.8日、身体拘束の平均日数が96日でした。海外では数時間、せいぜい数十時間で解除されるところがほとんどです。中央値は19日、一番長い人は1,096日身体拘束をされ続けていました。

※参照:認定NPO法人大阪精神医療人権センター

国連障害者権利委員会から日本への勧告を受けて

世界と比べて日本は精神病院の病床数や在院日数、身体拘束などが多いと指摘されるなか、日本も世界に追いつこうと2014年に「障害者権利条約」に批准しました。これにより、障がい者の権利の実現に向けて、取り組みが強化されることが期待されます。

「障害者権利条約」とは

この条約は、世界中の障がい当事者が参加して作成され、2006年に国連で採択されました。障がいのある人たちが差別を受けることなく、好きな場所で暮らし、学んだり働いたりできるという当たり前の権利の保障を目的としており、日本も2014年1月に批准しました。

障害者権利条約に批准した国の義務と審査のプロセス

障害者権利条約に批准した国は、下記のプロセスを繰り返しながら、障害者権利条約の実施に向けて様々な施策を行っていきます。

  1. 権利条約の効力が生じた2年以内に「政府報告」(どのような法律を定め施行しているかなど)を障害者権利委員会に提出
  2. 障害者団体や日弁連などの団体がパラレルレポート(障害者施策の現状や課題・改善点をまとめたもの)を障害者権利委員会に提出
  3. 双方の報告書に基づき書面による質疑応答が行われたのち、権利委員会と政府による対面審査
  4. この審査を経て権利委員会が政府に勧告。政府は改善に取り組み、4年ごとに権利条約の実施状況を報告 (このプロセスを繰り返す)

日本にとって初めての対面審査

2022年8月、スイスのジュネーブにて日本政府・内閣府の障害者政策委員会100人以上が参加し、権利委員会と政府による対面審査が行われました。

これに先立ち、政府は「報告書」を権利委員会に提出。同時に障害者団体や日弁連など民間団体が独自に「課題」や「改善点」をまとめた「パラレルレポート」を提出し、権利委員会の専門家18人がそれらを読んだうえで「虐待は防げているか」「雇用は進んでいるか」「障害のある女性の人権は守られているか」などの現状を質問して政府が回答する、という流れで進められます。

審査の様子はインターネットで中継されましたが、質問と回答がかみ合わない場面が多く見られました。象徴的だったのは、障害のある人が施設を出て地域で暮らすことや、精神科病院の退院支援について問われたときの厚生労働省の回答です。「日本の施設は高い塀や鉄の扉で囲まれてはいない。桜を施設の外や中で楽しむ方もいる」。

閉会の挨拶では権利委員会のキム・ミヨン副議長が「パラレルレポートが示す実状と、政府報告書に大きなギャップが見受けられる」と述べるなど、日本の課題が浮き彫りになりました。

国際障害者権利委員会からの勧告

以上の審査を経て、権利委員会より総括所見がまとめられました。「民間企業への合理的配慮の義務付けられたこと」や「アクセシビリティー(情報やサービスなどの利用)の基準の整備されたこと」など評価された点もありましたが、数多くの改善勧告もなされました。

改善勧告➀第19条「自立した生活および地域生活への包容」

第19条は「施設から地域に出て自立した生活を送る」ことを定めた条文です。権利委員会は「障害児を含む障害者が施設を出て地域で暮らす権利が保障されていない」ことから「脱施設化」を求めています。

そして、精神科病院の強制入院を障害に基づく「差別である」とし、自由を奪っている法令の廃止も勧告。地域で暮らすための法的枠組みの整備や、予算配分の見直しも求めています。

※参照:NHK福祉情報サイトハートネット「障害者権利条約 国連勧告で問われる日本の障害者施策」

改善勧告②第24条「インクルーシブ教育」

勧告の2つめとして、権利委員会は障害のある子のなかに、いわゆる“通常”の学級で学べない子がいることを問題視しました。分離された特別支援教育の中止に向け、障害のある子もない子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」に関する、国の行動計画を作ることを求めています。

※参照:NHK福祉情報サイトハートネット「障害者権利条約 国連勧告で問われる日本の障害者施策」

国際障害者権利委員会からの勧告を受けて

次回の国連審査に向けて

権利委員会からは、特に支援を多く必要とする、あるいは偏見にさらされやすい人の権利が守られていないと指摘されました。

次回の審査は2028年。国が対応していく必要性があることはもちろんですが、私たちも社会の一員として、障がいのある人たちが自由に安心して暮らせる社会を作っていかなければなりません。地域で暮らしたい・一緒に学びたい・働きたい、と言われたときに、障がいのある方を受け入れられるような地域の体制を整えていくとともに、私たちの意識も変えていくことが求められています。

精神科病院協会・山崎学会長のコメント

権利委員会からの勧告で、精神科病院の強制入院を障害に基づく「差別である」とし、自由を奪っている法令の廃止を求められました。厚生労働省では現在拘束要件の見直しが不透明なまま進むなか、精神科病院を束ねる日本精神科病院協会の山崎学学長はどのように考えているのでしょうか。

やまざき・まなぶ 2010年から日本精神科病院協会会長。22年5月の厚労省の私的検討会に突如、参考人として出席し、議論の風向きを変えるなど影響力が大きい。18年には協会の機関誌に「(患者への対応のため)精神科医にも拳銃を持たせてくれ」という部下の医師の発言を引用し、物議を醸した。安倍晋三元首相と親しかったことでも知られる。日本大医学部卒。

東京新聞『身体拘束「なぜ心が痛むの?」「地域で見守る?あんた、できんの?」精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…』

 まずは身体的拘束。年間1万件超の拘束がある。 

基本的にね、精神保健福祉法にのっとった拘束なわけ。それについて何だかんだ言うのは変だと思うよ

 厚労省で拘束要件を見直す議論が進む。医師の裁量が増え、拘束件数が増える懸念を示す声がある。

 「議論が進むのはいいが、現場としては、粛々と法律に沿った形で拘束する。当然じゃない?

 過去20年で拘束件数は2倍に増えた。

 「増えた増えたって言うけれど、厚労省が発表しているのは数だけ。病名や性別、年齢も発表していないから、具体的にどういう疾患で拘束が増えたか何もわからないの

 年齢や性別、疾患はこの場合、関係ないのでは。

 「関係なくないよ

 どんな疾患でも、拘束されたことに変わりはない。

 「中身の分析がなければ数字に意味がないって言っているの。拘束の数だけ発表してるのって変。分析できないのに答えられない

 そうでしょうか。

 「精神科病院より一般医療での拘束の方がはるかに多い。知らない? 厚労省の班研究で施設内拘束って6万件あるんだぜ。そっちの拘束をなんで騒がないの?」(軽く机をたたく)

 「拘束しないで、患者さんが逆に自殺したとか、転倒骨折したとかの方が怖い。医師が適切に判断していることをね、診察もしたことがないきみが、あーだこーだって言うのって変だと思わない?」「こっちだってね、好きで拘束やってんじゃない。拘束したら、監査の時にカルテを全部ひっくり返して見られてね、しかも診療報酬全くついてないんだよ、あれ

 山崎氏は拘束する権限をもつ精神保健指定医だ。

 「拘束? してますよ

 心は痛まないのか。

 「はあ? 治療の一環で拘束しているわけで、それを全然現場を知らないきみが土足で入ってきて、心痛みませんかって何なの? 失礼だよ

 取材で心を痛める精神科医に多く出会ってきた。

 「ぼくはそんなふうには考えない。適切に法律で決まっている。患者さんの安全を考えて拘束して、なぜ心が痛むの? しないことで、もっと変な結果が出る方がおっかないじゃないか

 当事者は拘束しないでほしいと強く望んでいる。

 「できないね。拘束して治療のプログラムに乗せるのが今の法律上の建前だ

 なぜ日本だけこんなに拘束件数が多いのか。

 「海外は入院させないからだ。デポ剤(持続性注射剤)打って帰しちゃう。入院が少ないから拘束数も少ないんだよ

 じゃあ日本も今後は病院ではなく、地域で見守る態勢に本腰を入れるべきだ。

 「地域で見守る? 誰が見てんの? あんた、できんの? きれいごと言って、結局全部他人事なんだよ

◆長期入院→「僕は幸せだと思う」 国連廃止勧告→「余計なお世話」

 確かに社会資源が少ない。

 「障害年金たった年間70万円で、どうやって地域で生活させんの? できないよ。働けないんだぜ

 社会構造も変えないと。

 「変わんねえよ! 医者になって60年、社会は何も変わんねえんだよ。みんな精神障害者に偏見もって、しょせんキチガイだって思ってんだよ、内心は

 山崎氏もそう思うのか?

 「ぼくは親父おやじの病院を継いで2代目だ。小さい時から、閉鎖病棟で患者さんに遊んでもらって育った。たまたま不幸で病気になっちゃった人って思っている

 精神科病院に入院し続けることは幸せなのか。

 「そう思うよ、ぼくは。地域で、アパートで一人暮らししながら、明日のことも分からず生活するのと、病院の4人部屋で皆でご飯食べるのと、どっちがいいかって言ったら、ぼくは病院を選択するよ

 30年入院してても?

 「出してどうすんの? 地域でマンツーマンで診れるならいいが財源も人もいない。支えているのはいつもボランティアじゃねえか

 国連障害者権利委員会は昨秋、日本の精神科医療での強制入院を問題視し、根拠法の全廃を勧告した。

 「余計なお世話だよ

 勧告は重くないのか。

 「重くないね全然。国連がそんなに権威のある機関だと思ってないもん

東京新聞『身体拘束「なぜ心が痛むの?」「地域で見守る?あんた、できんの?」精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…』

当事者の声

精神病院へ入院している当事者はどのように思っているのでしょうか。

40年近く入院し、現在は群馬県内の地域で暮らす精神国賠訴訟原告の伊藤時男さん(72)は、長期入院を肯定する山崎氏に対し、「病院の立場としてはそうなのだろうが、私は一日も早く退院したかった。多くの人にサポートしてもらい、今が一番幸せ。山崎先生に教えてあげたい」と語る。

東京新聞『身体拘束「なぜ心が痛むの?」「地域で見守る?あんた、できんの?」精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…』

 当事者でつくる一般社団法人「精神障害当事者会ポルケ」代表理事の山田悠平さん(38)も、「当事者は望まない入院に苦しんでいる。精神障害者を『かわいそう』として地域から締め出して病院に収容することで根深い差別構造を生んできた」と訴える。拘束要件見直しの議論については「身体拘束は行動制限の中でも非常に侵襲性が高い」とし、「告示を厳格にして高止まりしている実態にメスを入れてほしい」と求める。

東京新聞『身体拘束「なぜ心が痛むの?」「地域で見守る?あんた、できんの?」精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…』

身体拘束は、嫌な経験だな、絶望経験
携帯電話を取り上げられ、なかなか返してもらえなかったことに反発し、主治医に抗議。思わず手を出したところ、男性看護師ら6人がかりで押さえ込まれたり、先生に「大丈夫だよ、先生」って笑って訴えても、「あ、ちょっと気分がハイになってるね」って。「ハイになっているね、もうちょっと様子を見ようか」。それで1日(拘束が)延びたり、次の日に「もう先生、大丈夫」って泣いて訴えてみても、「ちょっと情緒不安定だね」と。
閉鎖された、精神科病棟みたいなところは、中から声を上げにくい。(20代から解離性障害:中村さん)

最初は退院したかったです。でも病院の生活に慣れてしまい、他の生活なんか考えられなかったです。それ以降は、退院したいと言ったことはなかったです。
(入院生活を終えて)旅行にも行けるし、沖縄や長崎も行って飛行機に乗ったりして、一生の思い出になりました。おすしも食べて、病院では食べられなかったものも食べられて良かったです(精神科に43年入院:和子さん)

参照:身体拘束「なぜ心が痛むの?」「地域で見守る?あんた、できんの?」精神科病院協会・山崎学会長に直撃したら…|東京新聞

社会的入院を考える (2) なぜ退院は進まないのか? 精神科病院の現状と支援のヒント|NHKハートネット

NHKバリバラ「NOTHING ABOUT US WITHOUT US! 国連勧告を受けて(1)

精神科病院からの退院後の住まい・生活問題

退院後の住まい

退院後の住まいには、主に「在宅」「障害者グループホーム」「行政が用意した一人暮らし用住居」「介護保険施設」等といった選択肢があります。実際に、精神病院に入院されていた方は退院後どうされるのでしょうか。

現場経験のある方にヒアリングしてみました。

【ヒアリングレポート①:病院で精神保健福祉士として勤務していたBさん】

・うつの人は在宅に戻ることが多く、統合失調症、双極性障害、依存症の方は、障害者グループホームに地域移行する方が多い

・施設はすでに待機者が多く、退院後に施設に移る方はあまりいない

・認知症の方は、介護保険施設の方に行く人が多い

・障害者グループホームは服薬管理をしてくれるので、その点はとても助かる。また、障害者グループホームだと、退院後も連携調整がしやすいので、困ったことや退院後の様子が見え、自立に向けた支援がしやすい

【ソーシャルワーカーとして勤務していたCさん】

・地域に出ている人の対応がメインではあったので、障害者グループホームの方や、精神病棟からの地域移行の部分を担当するケースはあまり多くなかったが、グループホームの支援でいくと、金銭管理の支援に入ったり、相談員や病院が連携したりして、私が勤務している地域では当事者の方がダメになったらすぐ入院できるようにしようという考え方があった。

・なかでも、知的障害がなく、後天的に精神障害を患った方で、誰かの目がないと危ない人がグループホームに入っていた。人への依存度が高い人がグループホームに入居していたなというイメージ。

退院後の懸念点・課題

精神病院から退院した場合の懸念点や課題は、どのようなところにあるのでしょうか。現場経験のある方へのヒアリングと懸念点をまとめました。

懸念点・課題

  • 病院への出戻りが多い
  • 自死
  • 本当の地域移行になっていない場合がある
  • 地域での腫れもの扱い 等

【病院で精神保健福祉士として勤務していたBさん】

精神病院への出戻りは、体感的に半分くらいいる。自死を選択する方も中にはいる。

【ソーシャルワーカーとして勤務していたCさん】

地域に出てはいるけど、地域の方から腫れもの扱いされているケースも多く、当事者の方の逃げ場を病院と連携して作っているような状況があった。

また地域的な点もあるかと思うが、気分が落ち込むと、すぐ入院できてしまうシステムがあり、 一般的に人の気分が落ち込みやすい、6月あたりに定期的に入院している方もいた。期間を自身で設定できるようなシステムもあったので、結局、地域に出ても、病院に出戻りする方が多かった。それを何年も繰り返している方が多い。

ある意味、地域移行のシステムができているとも捉えられるかもしれないが、精神科の先生が親代わりになってしまっていて、病院ありきでの地域移行となっている。

イベントが充実していたりと、グループホームのようなイベントもあるので、死ぬまで閉鎖病棟という方もいらっしゃり、当事者も居心地がいいため抵抗がないという方もおり、実際の地域移行と捉えられるかは果たして疑問を持っている