- 障害福祉事業の代表的なシステム①「しょーあっぷ」
- 障害福祉事業の代表的なシステム②「カイポケ」
- 障害福祉事業の代表的なシステム③「ノウビー」
- 指定申請書類、運営書類、請求書類等、実地指導に向けた書類準備方法
- ICT活用を目的とする助成金
障害福祉事業で使われているシステムや、障害福祉事業の現状、障害福祉事業者に向けた助成金に目を向けて、障害福祉事業のICT活用に着目しました。
障害福祉事業の代表的なシステム➀「しょーあっぷ」
『しょーあっぷ』を運営する株式会社福祉アセットマネジメントの事業
「しょーあっぷ」の開発会社である福祉アセットマネジメントは、コンサルティング&フランチャイズによる社会問題の解決を行う、株式会社アニスピホールディングスのグループ会社で、障害福祉事業のシステム「しょーあっぷ」の開発と運用を行っている会社です。
『しょーあっぷ』のシステム概要
「しょーあっぷ」は、障がい者グループホームの運営・請求一括管理システムです。
- 障がい者グループホームに対応
- 画面がシンプルなので、直感的に操作ができ、使い方が簡単
- 令和3年4月施行版「報酬改定」に対応
- 毎月の運営計画、日々の業務管理、国保連請求までこのシステム1つで対応
- シフト自動作成機能で効率的な業務運用
- 請求管理(実績記録、請求、利用者管理、建物管理、事業所管理、実費マスタ)
- 運営管理(個別支援計画の管理、業務日誌の記録、シフト管理)
- リンク集(FAQや操作方法、設定方法を集約)
基本利用料、利用者1名につき1,100円
上限月額 16,500~22,000円
『しょーあっぷ』利用者の声
その他システムと『しょーあっぷ』の違い
障がい者グループホームに特化した請求システムということで、満足度・付加価値・使いやすさで1位!
※調査方法:インターネット調査/調査概要:2020年10月 サイトのイメージ調査/調査提供先:日本トレンドリサーチ
『しょーあっぷ』カスタマーに聞いた!よくある質問、改善点
バイタルを書くところを追加してほしい、日報の支援内容のカスタマイズをできるようにしてほしい、という要望が多く、現在改修中で近日リリース予定とのこと。
『しょーあっぷ』今後の展開
現在、しょーあっぷは、障がい者グループホームに特化した請求システムということで、「介護サービス包括型」 「日中サービス支援型」 「短期入所」の請求と管理業務に対応しています。さらに、就労継続支援A・B型の請求システムの構築を進めているとのこと。
株式会社福祉アセットマネジメント 会社概要
企業名 :株式会社福祉アセットマネジメント
代表者 :代表取締役 上原 通彰
本社所在地 :東京都千代田区九段南3丁目1番1号3F
設立 :2018年10月1日
資本金 :5,000,000円
従業員数 :不明
ホームページ :https://curewansystem.com/
障害福祉事業の代表的なシステム②「カイポケ」
『カイポケ』を運営する株式会社エス・エム・エスの事業
高齢社会が直面する「質の高い医療・介護サービスの提供が困難になる」「現役世代の負担がより深刻になる」「高齢社会の生活にまつわる困りごとの解決が困難になる」という社会課題に対して、メディカルプラットフォーム事業領域と、グローバルキャリア事業領域において解決を目指している会社です。
『カイポケ』のシステム概要
福祉事業全般の運営・請求一括管理システムです。
- ソフト切り替えもスムーズ!安心のサポート体制
- 介護記録はクラウド上に管理!
- ボタン1つで安心の国保連請求
- タブレット・スマホ記録で業務効率化
- 豊富な経営支援機能
- 請求
- 財務・会計
- 営業
- 業務効率化
- 総務・購買
- その他
- 開業支援
- 人事・労務
その他システムとカイポケの違い
介護保険請求だけではない 経営支援の介護ソフト!
『カイポケ』利用者の声
『カイポケ』に求める改善点(利用者意見参照)
- 不具合が出ることが多い。「保存をする」を押すと記録が飛ぶ事が何度かあった。しかも同じ利用者さんの記録ばかり飛んでしまうため何回も同じ記録を書くことがあり直してほしい。
- 数年使用しているが、その間、機能上のアップデート・バージョンアップがほぼ無い。稼働自体は安定しており特に不満はないが、限られた機能しかない・活用できないので、他の有益なシステムがあれば乗り換えを検討しても良いかと思う。
- 強制的にトップページに戻ってしまい、作業が振り出しに戻る事がしばしば。計画書の様式や設定が細かく出来ればと思う。
株式会社エス・エム・エス 会社概要 企業名:株式会社エス・エム・エス 代表者 :代表取締役社長 後藤 夏樹 本社所在地 :東京都港区芝公園2-11-1 住友不動産芝公園タワー 設立 :2003年4月4日 資本金 :23億1,518万円(2023年3月31日時点) 従業員数 :連結:3,703人、単体:2,343人(2023年3月31日時点) ホームページ :https://www.bm-sms.co.jp/
障害福祉事業の代表的なシステム③「ノウビー」
『ノウビー』を運営する株式会社リクルートの事業
「ノウビー」は株式会社リクルートが運営するシステムです。リクルートは販促領域と人材領域の2つの事業領域で構成されており、販促領域は、住宅、美容、結婚、旅行、飲食などの分野において、オンラインを中心としたプラットフォームを運営。これにより、個人ユーザーに対して、日常生活におけるより多くの選択肢を提供するとともに、企業クライアントに対しては、広告を通じたユーザー獲得支援などを行っています。
『ノウビー』のシステム概要
障害福祉支援施設に特化した業務効率化サービスです。
- 請求と記録が連動
- シンプルは画面のため、操作が簡単
- いつでもどこからでも情報管理が可能なクラウドシステム
- 1か月単位の契約制度
利用実績管理・請求機能・記録機能(定型文昨日、カスタマイズ機能)・作業時間管理・セルフケア機能・自己学習プログラム・職員向けプログラム
初期費用、サポート費用、システム改修費用などは一切かからず、月額のご利用料のみで利用可能。最適なプランを提案するので、詳しくは問い合わせ。
『ノウビー』利用者の声
その他システムと『ノウビー』の違い
障害福祉支援施設に特化した業務効率化サービス
『ノウビー』に求める改善点(実際に利用している方に聞き取り調査)
- 抽出等の情報集約の機能が弱い。面談をした人だけの抽出や記録・業務日誌の面では日付ごとの記録抽出等ができない。できるようにしてほしい。
- 利用者情報が見にくい。契約者も修了者も混ぜこぜで、非表示や解約者の枠がない。
- 利用者の現住所と、請求先の受給者証住所が一致しないと国保連請求時にエラーで戻ってきてしまうが、現住所と受給者証の住所が一致しないことは多々あるため、その点は修正してほしい。
- 関連機関(相談支援事業所や、他事業所)の入力ができるものがなく、この欄を入れてほしい。
- 職員情報は、名前と役職が登録できるにとどまるので、シフト管理は別途行う必要がある。
『ノウビー』今後の展開
障害福祉支援施設に特化した業務効率化サービスということで、現在、対応できていない、「同行援護」「行動援護」「計画相談支援」「地域相談支援」の対応を進めいるとのこと。
株式会社リクルート 会社概要 企業名 :株式会社リクルート 東証プライム証券コード:6098 代表者 :代表取締役社長 北村 吉弘 本社所在地 :東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー 設立 :2012年 10月1日 資本金 :3億5千万円 従業員数 :19,836人(2023年4月1日現在 / アルバイト・パート含) ホームページ :https://www.recruit.co.jp/
指定申請書類、運営書類、請求書類等、実地指導に向けた書類準備方法
事業開始のための指定申請時に必要な書類一覧
障害福祉事業は、障がい者総合支援法に基づいて、指定権限を持つ行政から、許認可をもらわないとはじめられない事業となっております。
その際の申請書類一覧が、下記の通りです。
下記一覧以外にも、実際に行う予定の研修資料を一通り紙媒体にて提出するよう求められたり、使用予定の運営書類の提出を求められたり、場合によっては、その他事業所に見学や研修を行った際の報告書も紙媒体で提出するよう求めてきたりと、かなりの量の紙媒体を使用します。
また、下記一覧に関しては、完成前のものも印刷して紙媒体にて行政に提出する必要があり、複数回書類の修正を重ねるため、ここでもかなりの量の紙媒体を使用して申請を進めていきます。さらには、行政に提出した書類と同じものを、副本として事業所にて保管する必要があるため、これらを複数セット印刷する必要があるのです。
請求時に必要な書類
- 訓練等給付費等請求関係書類
- サービス提供実績記録表
- 利用料等請求書・領収証
- 法定代理受領通知書
- 受給者証
実地指導時に必要な書類一覧
指定申請時に必要な書類、運営に必要な書類、請求に必要な書類に加え、人員関係のシフト・出勤簿・履歴書・資格証明書を、
期間:実地指導実施日の年度の書類+前年度1年分の書類
上記期間分すべてを用意する必要があります。
運営帳票類や請求に関する書類は、システムが作成され、システム内で処理ができるようになっておりますが、一部書類は、印刷して、事前に東京都の担当部署まで返送の必要があり、それ以外の書類は、実地指導当日、紙媒体で提出が求められることが多いです。(一部データでの提示も可能ですが、基本的に紙での提出を求められます。)
また、その後の行政からの指摘事項は手書きの書類で届いたり、行政の指摘事項に基づいて事業所が作成する改善報告書も紙での郵送を求められたりと、障害福祉事業のやり取りは紙媒体がメインとなっていることが分かります。
ICT活用を目的とする助成金
障害福祉事業の予算
障害福祉サービス関係予算額は15年間で約3倍に増加
障害福祉予算は、国の負担が50%、自治体負担が50%です。下記のグラフは国の予算を示しています。この中に、自治体負担額は含まれていないので、この約2倍の額が、障害福祉事業の総給付費となります。
ICT導入に関する支援予算
障害福祉分野におけるICT・ロボット等導入支援 5.2億円
障害福祉分野における業務効率化及び職員の業務負担軽減を推進しながら、安全・安心な障害福祉サービスを提供できるよう、障害福祉サービス事業所等におけるICT・ロボット等の導入を支援する。
参照:令和5年度傷害保険福祉部予算概算要求の概要|厚生労働省
ICT補助金具体例(大阪府)
- 補助対象事業者:大阪府内で障がい福祉サービス等の指定を受けている施設・事業所
- 補助対象となるICT機器等
ア 情報端末(タブレット端末・スマートフォン等ハードウェア、インカム)
イ ソフトウェア
ウ 通信環境機器等(Wi-Fiルーターなど)
エ 保守経費等(クラウドサービス、保守・サポート費、導入設定、導入研修、セキュリティ対策等) - 補助対象経費:設置に係る工事費、機器等の備品購入費等のICT機器等導入に必要な経費
- 補助金交付額:1事業所あたりICT導入に係る費用(上限100万円)のうち3/4を補助する。
まとめ:システムの充実よりも制度改革が重要?
障害福祉をめぐるシステムやソフト開発は、大手企業をはじめさまざまな企業が取り組んでおり、直感的で使いやすいシステムも登場しているようです。しかしながら、福祉事業における「必要書類の多さ」「自治体ごとに異なる制度の複雑さ」「行政が電子化に対応していないため完全ペーパーレスが実現できない」といった問題がまだまだあることもわかりました。
福祉事業のDX化が進むには、行政と一体となった改革が必要なのかもしれませんね。