「世界幸福度ランキング(世界幸福度調査) 」というランキングが存在するように、それぞれの生活が幸せなのかどうなのか、数値化して可視化させるほど、人々は幸せな暮らしに対する関心は高いです。日本は、2023年度は137か国中47位に位置しており、2022年度の54位からランクを伸ばしています。そんな中、幸せホルモンに着目して、人々の感じる幸せとはどういうことなのか、ペットを絡めて調査してみました。
幸せホルモンとは?
幸福感は、脳内ホルモンと呼ばれる神経伝達物質の働きに追ってもたらされます。
幸せホルモンと呼ばれる伝達物質の中で代表的なものは、以下の4つが挙げられます。
家族や友人、恋人などといて楽しいと感じる。オキシトシン的幸福は、つながりや愛情をもたらす。
ポジティブで前向きな気分。セロトニン的幸福は、心と体の健康を支えてくれる。
目標達成した快感。ドーパミン的幸福は、成功や報酬といった快楽。
好きなものを食べた時や熱めの湯船に浸かったとき。エンドルフィン的幸福は、気分を高揚させる。
オキシトシン
「愛情ホルモン」とも呼ばれており、分娩時に子宮の収縮を促すことや乳腺を刺激して母乳の分泌を促す働きがあることから、女性の出産期に必要なホルモンとして知られてきました。
脳の視床下部で作られ、主に脳下垂体を介して血中に放出される。抗ストレス作用や摂食抑制作用を持つとされております。
近年では、オキシトシンは生理的な作用のみならず、社会行動にも関わるとされ、老若男女のストレス状態を軽減させ、不安や心配などを緩和させてくれるなどといった働きがあることが分かってきました。オキシトシンを人に投与すると、他人に対する信頼感を増加させるという報告がありますし、社会行動に障害がある自閉スペクトラム症の患者さんにオキシトシンを投与したところ、前頭前野の活動が増加して症状の改善が見られたという報告も話題を呼びました。
さらに、オキシトシンは、前頭前野、海馬、扁桃体などに働きかけるホルモンとして、例えば、うつ病に関わりの深い海馬の神経細胞の新生を促進させることによって、うつ病を改善する可能性があることも明らかになりつつあります。
オキシトシンが分泌されると、ストレッサーに過剰に反応していた脳を平常の状態に戻したり、脳の疲れを癒したり、気分を安定させたり等の作用があります。
また、オキシトシンが十分に分泌されているとセロトニンの分泌も増えて、相互作用によりストレス緩和につながります。愛情や人とのつながりなどがあることで精神が安定します。
オキシトシン分泌UP方法
家族やペット、パートナーなどとのスキンシップはオキシトシンが分泌される。
家族やペット以外でも、マッサージなどでも分泌が促進される。
人とのコミュニケーションを通して分泌が促される。
セロトニン
「セロトニン」は、視床下部や大脳基底核・延髄の縫線核などに高濃度に分布している、脳内神経伝達物質の1つです。
他の神経伝達物質であるドーパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあり、体内時計を整えるためにも、非常に重要な役割を果たしています。
セロトニンには、不安感を和らげて精神を安定させる働きがあります。朝目覚めたときに「今日もがんばろう♪」というポジティブで前向きな気分をもたらしてくれます。セロトニンが低下すると、ドーパミンとノルアドレナリンのコントロールが不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症(パニック障害)などの精神症状を引き起こすといわれています。
また、睡眠を導く「メラトニン」というホルモンの材料にもなります。このメラトニンは、睡眠中に免疫力を高めたり、強い抗酸化作用によって体を守ったりします。
セロトニンは、心と体の健康の基本となるものです。昼夜逆転生活や不規則でバランスの悪い食生活など、生活習慣が乱れることによりセロトニンの不足を招きやすくなります。
セロトニンの分泌UP方法
ドーパミン
「ドーパミン」は快楽物質とも呼ばれる神経伝達物質の一つ。快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしており、楽しいことをしている時や目標を達成したとき、褒められたときなどに分泌されます。やる気を出してくれるのも役割の一つです。
ドーパミンが働く主な神経経路には黒質線条体路・中脳辺縁系路・中脳皮質路の3つがあります。黒質線条体路はパーキンソン病と関連し、中脳辺縁系路と中脳皮質路は統合失調症と関連するとされています。
ある行為でドーパミンが放出されて快感を得ると、脳がそれを学習して、再びその行為をしたくなります。さらに大きな快楽を得ようとして努力をするようになります。しかし、それが仕事や勉強といった自分にとってプラスに働くものであればよいですが、依存症や中毒となってしまうことがあります。例えば、パチンコ依存症、買い物依存症、ゲーム依存症、アルコール依存症などがあげられます。
ドーパミンのン分泌UP方法
ドーパミン分泌の注意点
セロトニンやオキシトシンによる幸福が土台となってこそドーパミン的幸福が最高の幸福となります。不規則な生活で無理やり仕事を頑張って目標を達成したとしても、うつ病や依存症、家庭崩壊になってしまっては、幸福と言えるでしょうか?
セロトニン⇒オキシトシン⇒ドーパミンの順番で実現していくことが大切です。
エンドルフィン
「エンドルフィン」は、子牛や豚の脳から発見されたもので「体内で分泌されるモルヒネ」を意味しています。脳の中心部にある下垂体が作り出すホルモンで、“脳内モルヒネ” の異名でも知られており、モルヒネの数倍の鎮痛効果があり、気分を高揚したり幸福感が得られるという作用があります。
エンドルフィンには、α・β・γの3種類があり、苦痛を取り除くときに最も多く分泌されるのは、β-エンドルフィンです。
“幸せホルモン” として言及されるエンドルフィンは、普通、β-エンドルフィンを指します。
いわゆる「ランナーズ・ハイ」が起こるのは、走っているあいだの苦痛を軽減しようと、脳がエンドルフィンを分泌するため、という説があります。このような恍惚は、仕事中や勉強中にも生まれます。
作業しているうちに深く集中し、周囲が見えなくなるような、「フロー」や「ゾーン」は、ドーパミンが重要とされており、エンドルフィンが分泌されれば、脳がドーパミンを出しやすくなるそうです。
エンドルフィンを上手に放出する方法
- 「終活」をしない(死後ではなく、今できる自分の生き方で最後まで楽しめることを探す)
- 「呼吸」で怒りを鎮める
- 「いとおしい」という気持ちを習慣に
- 歩幅をちょっと広げ、少し早いウォーキング
- 「入浴」で哀感とリラックスを得る
- 好きなものを好きなだけ食べる
- 1日1度笑いを増やす(部屋の模様替えなども有効)
- 辛い物をたべる
- サウナに入る
- ハードな運動 等
※参照:
健康管理検定 https://kentei.healthcare/column/2201/
厚生労働省e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
日本経済新聞 https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXKZO08297260T11C16A0NZBP01/
STUDYHACKER https://studyhacker.net/happy-hormones
オキシトシンによるヒトとイヌの関係性
犬と人間の関係性
犬は最も古い家畜種とされており、その歴史は古く、3~4万年前から人間と共に生活をしています。犬は、狩猟採集の生活を人間と共にし、人と集団生活をしていたために、機能として移動や休息のリズムのような緩やかな行動の同調があっただろうと予想できます。
他の家畜が人と生活するようになったのは1万年前ですので、犬との関係が圧倒的に古いことが分かります。これらの家畜は、「Livestock」と呼ばれる、食物資源や食物防衛として飼育されていました。
この長い共生過程において、犬と人間の間には言語を用いない、特殊なコミュニケーション能力が獲得されたと言われています。
犬ができるコミュニケーション
犬は、人間同様に、「交互凝視」ができるとされています。人間に場合の交互凝視においては、下記の流れに沿って行われています。
- 「確認」相手が何を見ているのか
- 「催促」自分の視線を相手に理解させるように仕向ける
- 「共感」自分の感情を伝える
犬の場合は、交互凝視の「催促」までできることが示されています。
母子間の絆形成
母は、子からのアタッチメント(愛着)行動によって、母性を育てます。その母性が育てられることで、母は子の養育行動(子の身体的な成長と共に社会性を育む)を示します。このように、双方向性の関係性が成立し、その過程を経ながら母子間の絆が形成されていきます。このように、多くの哺乳類において母子間の絆は普遍的にみられます。この絆の形成において、オキシトシンが大変重要な役割を担っています。オキシトシンの機能が障害されると、母性行動が潤滑に発現することができず、また、子も正常な発達をすることが困難となります。
人と犬との絆形成
飼い主と犬の実験において、尿中のオキシトシン値を測定した実験があります。
その実験では、まず、行動解析において、犬が飼い主をよく見つめる群(LG)と、見つめない群(SG)に分け、30分間の交流をします。結果、LG群は飼い主も犬も交流後の尿中オキシトシン濃度が上昇し、SG群は、飼い主も犬も変化が見られませんでした。このことから、犬の飼い主に向けた視線は、アタッチメント行動として飼い主のオキシトシン分泌を促進するとともに、相互のやり取りは犬のオキシトシン分泌にも促進することが示唆されました。
また、介入実験では、犬にオキシトシンを投与して、飼い主に向けた視線が増えるか、それに伴って飼い主のオキシトシンが変化するかを検証しました。結果、雌犬の飼い主を見る行動が増加し、その雌犬と交流した飼い主のみ尿中オキシトシン濃度が上昇しました。
このように、人と犬の間にも、母子間と同様のポジティブループが存在し、それにより、生物学的な絆が形成されることが示唆されました。
犬以外の動物は?
オオカミ:犬と似た系統である、オオカミで、交互凝視の実験をするが、視覚指示によって、犬のように餌を獲得することはできなかった。
チンパンジー:人と遺伝子的に近いチンパンジーでも、交互凝視の実験をするが、オオカミ同様、視覚指示によって餌を獲得することはできなかった。
※参照:オキシトシンによるヒトとイヌの関係性 菊水健史 2017|https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/advpub/0/advpub_67.1.1/_pdf
人と犬との関係
人と犬
このような実験から、人と犬とは、古くから共生してきた過程を通じて、他の動物とは全く異なる関係性を築いてきたことが分かります。
母子間や家族間に似たような、関係性にあることから、犬と一緒に暮らすことは、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシンン」の発生に効果的であり、その人の幸福感の増長につながります。
人と犬の幸福感や共感性に関する研究は多くはないですが、このような人と犬との絆を強く感じている人も多いことから、犬と一緒に暮らすことは、人々の幸福感にもつながり、反対に、飼い犬も同様に幸せホルモンを感じているということですね。
オキシトシンと障害
オキシトシンと障害
オキシトシンを人に投与することで、自閉スペクトラム症の症状や、うつ病の改善にも効果的と先に述べましたが、実際にどのような効果があるのでしょうか?
オキシトシン遺伝子の欠損や異常が、自閉スペクトラム症特有の、対人関係の構築や社会性障害の原因ではないか、と考えられています。
自閉スペクトラム症の患者は、血中オキシトシン濃度がわずかばかり低いことが報告されており、自閉スペクトラム症患者にオキシトシンを投与すると、心を読み取る・目を見る等の効果があることも報告されています。
血中オキシトシン濃度低下による卯仮設の概念図
脳内移行の経路
本研究では、CD38に依存するオキシトシン分泌過程で、オキシトシン系が社会認識に深く関わっていることを見出しました。そして、CD38のSNPが自閉症の危険因子となりうる可能性と、オキシトシン連続投与により、自閉症者の社会性行動が改善したことを示す症例を報告しました。社会性行動の改善には、末梢に投与されたオキシトシンが脳血液関門を通過し、脳脊髄液中への移行があると考えられます。
※参照:
オキシトシンと発達障害 東田・棟居 2010年|https://kodomokokoro.w3.kanazawa-u.ac.jp/menu_03/04-nou21-220514.pdf
社会性記憶と自閉症 東田 2017年|https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/28/4/28_310/_pdf
CAPS2(神経ペプチドや生態あみんの分泌を調整するタンパク質)がオキシトシン分泌制御に関与していることが明らかにされた実験です。
これまで、一部の自閉症患者においてCAPS2に異常を持つことが分かっており、その遺伝子欠損マウスが自閉症モデルとなるよ行動障害を示すことから、CAPS2がオキシトシンの分泌制御を調節し、その結果社会性行動にも関与していることが分かりました。
自閉スペクトラム症は、54人に1人の割合で出現する、頻度の高い発達障害であるにも関わらず、有効な治療薬はなく、行動や感じ方の特徴に合った対処方法を身に着けることが主流となっています。そんな中、オキシトシン経鼻スプレーの臨床実験がなされるようになり、従来型の経鼻スプレーの自閉スペクトラム症に対する有効性を検討する臨床試験が実施されました。単回投与では一貫して改善効果が報告がされていましたが、反復投与では改善したという報告もあれば、改善を認めなかったとする報告もあり、結果が異なっていました。本実験では、改良型経鼻スプレーを使用しており、自閉スペクトラム症中核症状の改善が認められ、初めて、オキシトシン用量のU字型の容量反応関係を認めました。
※参照:
オキシトシンの分泌を制御するタンパク質を発見!~自閉症の早期分子診断法や治療法開発に光~ Fujima、Ymage、Minami、Mizuno、Shinoda、Sadakata、Abe、Sakimura、Sano、Furuichi 2021年|https://www.tus.ac.jp/today/archive/20210517_1400.html
オキシトシン経鼻スプレーに自閉スペクトラム症中核症状に対する改善効果 山末 2022年|https://www.amed.go.jp/news/release_20220125.html
ペットと一緒に利用できる場所
レジャー施設
場所:東京都港区赤坂9-7-1
施設規模:大型複合商業施設。ホテルや美術館などの文化施設のほか、約130店舗
利用方法:リード着用または抱っこ、芝生エリアはNG、ペット同伴で施設の共有部を通る際は、キャリーケースの利用が必要。
特徴:エリアマップや、館内サインを各店舗ごとに設置。
HP:https://www.tokyo-midtown.com/jp/
場所:東京都江東区豊洲2-4-9
施設規模:大型商業施設
利用方法:リード着用または抱っこ、施設内のシーサイドデッキはウェルカムペットエリア。ドッグランや水飲み場を利用可能。フードコート外やデッキにある飲食店のテラス席は、ペット同伴で利用可能。
特徴:ペットの一時預かりやペットカートの貸出しサービスも完備。
HP :https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/toyosu/
サービス
会社:株式会社アニスピホールディングス
提供サービス:共同生活援助(障害者グループホーム)
エリア:青森・高知・和歌山・奈良を除く、全国1,447拠点(R5.9.1時点)
HP:https://anispi.co.jp/
会社:株式会社コミュニティネット
提供サービス:サービス付き高齢者向け住宅
エリア:東京都・埼玉県・神奈川県にて、7拠点(R5.9.1時点)
特徴:サービス付き高齢者向け住宅の建物内に住宅型有料老人ホーム、クリニック、訪問看護ステーション、グループホームが併設。 地域の介護、医療との連携も強く安心して過ごせる。(https://c-net.jp/)
職場
場所:東京都千代田区九段南3-1-1久保寺ビルディング3階
会社提供事業:障害福祉事業、障害福祉事業のコンサルティング
会社規模:353名(正社員133名、パート220名 R5.2現在)
ペット通勤制度:事前に出勤ペットの申請を行なえば、いつでも一緒に通勤可能
場所:東京都港区港南1-2-70品川シーズンテラス7F
会社提供事業 :マスペットケア事業・マースリグレー事業・マースフード事業・マースエッジ事業
会社規模:約320名
ペット通勤制度:ペットの慶弔・ペット通勤費サポート・ペット名刺の作成・出張時のペットホテル代サポート・ペットカレンダー・犬・猫に限る・ペットの事前登録・出勤は1日3頭まで・ワクチン接種済・しつけ完了・リード着用・出社前に社内メールで告知
場所:東京都港区三田1-4-1 住友不動産麻布十番ビル4階
会社提供事業:Pairs・Safe and Secure・Pairs global
会社規模:145名(2021年度)
ペット通勤制度:「baniera for ペット」年3回まで病院通院への半休取得可能・2日間のペット忌引き休暇・ペット同伴出勤ペット同伴通勤時は、社内のコミュニケーションツールを利用して事前申請
本記事は、弊社が独自でリサーチしたものであり、 裏どりはおこなっておりません。あらかじめご了承ください。